イベントレポート ライブ

心地良いリズムが身体を包む快感を体験!沖縄初の「カホンの祭典 HAKO FES」がついに開催!

リズムを刻む楽器と聞いて、思い浮かべるのは何だろうか?
幼少期に叩いたことがあるであろう「トライアングル」、カラオケでの盛り上げ役の定番「タンバリン」、ドラムやシンバルが一般的かもしれない。

そして、打楽器と聞いた多くの人は、こう思うのではないだろうか?

「打楽器って地味じゃない?」

事実、筆者自身も今までは、そう思っていたひとりだ。
しかし、その固定観念が崩れてしまった人間のひとりでもある。

打楽器は地味という固定観念を打ち破ってくれたもの、それが今回紹介するイベントだ。
その名も「カホンの祭典 HAKO FES」。

カホンという、一般的には耳慣れない打楽器がメインのライブイベント。
一体どのような内容なのか?
筆者自身、「打楽器がメインのライブ?大丈夫か?」という一抹の不安と、「一体どんなライブになるんだ?」という期待感を持ちながら、ライブ会場へと足を運ぶ次第となった。

「カホンの祭典 HAKO FES」ライブ出演者

※ライブレポートのため、敬称を略させていただいております。ご了承ください。

カホン奏者

村岡広司
宮當秀幸
ひがっす
中村圭太
ひぃふぅみぃ
KAZU
かとうめい
みこ

ゲストミュージシャン

Serika
リリカ(ずっちーず)

カホンの祭典 HAKO FESについて

「カホンの祭典 HAKO FES(以後、HAKO FES)」は、カホンを愛する人々が集まるイベントとして、2013年に東京で始まった、カホンの魅力を伝えたいという熱い思いが込められたイベントだ。

主催者は、カホン奏者の村岡広司。

初開催時は、20人のカホン奏者と4つのカホンメーカー、5人のゲストミュージシャンが出演し、カホン演奏やトークコーナー、アンサンブル、ゲストとのコラボなどが行われた。

HAKO FESは、初開催の2013年から徐々に会場を拡大。
2016年には大阪・東京で、2017年には神戸・大阪・京都・名古屋などで開催された。
日本全国での開催を目指しており、多くの地域でカホンの楽しさを伝えている。

2024年は、神奈川、兵庫、徳島、岡山、山口、愛知、秋田、茨城、青森、沖縄、東京で開催された。

HAKO FESは、カホン奏者やカホンメーカー、ゲストミュージシャンが一堂に会し、音楽を通じて多くの人々に感動を与えているイベントである。

オープニング

ステージ上に並んだ8台のカホン

舞台上には、8つの箱が並んでいる。
初めてカホンを見る人は、オシャレな椅子がズラリと揃えられているように思うかもしれない。

そう、この箱のような、椅子のようなものこそ、カホンという楽器なのだ。

開演時間になり、8人の男女がそれぞれのカホンに腰掛ける。
主催である、村岡がカホンの表面を、1度叩く。

「ドン」

重たく響く打音が、会場にこだまする。
たった1つの音が、会場の視線と呼吸を引きつける。
2度、3度と音が響き、5度目を打ち終えたのち、村岡の口からカウントが始まった。

「ワン・ツー・スリー・フォー」

同時に8人の奏者が一斉にカホンを打ち鳴らす。

心地良く刻まれるリズム。
時に力強く、時に抑え気味に、時に速く、時にゆったりと。
力強いバスドラムの音、軽快なスネアドラムの音調の音が響く。

8人の奏者の顔に、真剣な眼差しと楽しそうな表情が入り混じる。
呼吸もピッタリで、乱れることなく、打音のアンサンブルを全員が奏で続けた。

1曲目を叩き終え、2曲目に入ると、ここでは自己紹介が行われる。
個性的な面々の自己紹介は面白く、観客からは歓声と拍手が巻き起こった。
会場全体がひとつになり、HAKO FESを盛り上げる。

村岡のカウントを合図に、リズムが激しくなり、会場の空気を震わせる。
観客もノリノリだ。

「ドドドン」

最後は8人の奏者の息ぴったりの打音で締めくくられ、オープニングが終了。
観客からは歓声と拍手が送られる。
やり切った表情、少し安堵が見られる表情、そして心から楽しいという表情が、奏者の顔にあふれていたような気がした。

オープニングから観客の期待は膨れ上がり、会場中に充満している。
これから、どのような演奏が繰り広げられるのか、筆者を含め、観客は次の準備が始まったステージに注目が集まっていた。

村岡広司

カホンを演奏する村岡。その姿に観客も目を奪われる。

司会から「カホンバカ」として紹介された、HAKO FES主催、村岡広司がステージに。
この称号は、カホンを心から愛する男の勲章といっても良いだろう。

ちなみに、この紹介を行ったのは、私のプロレス仲間であり、フリーの芸人、カメラマン、カホン奏者と、多くの顔を持つ男、ひがっす。
いつも、素敵な出会いをつないでくれる、素晴らしい人物だ。

ステージにただ一人、カホンに座る村岡。
ライトに照らされる姿を、観客はジッと見つめている。
これから始まる、村岡のパフォーマンスに対する期待感が高まっていた。

村岡がカホンを叩き始めると、会場はリズムにあふれ、観客の身体を中心から揺り動かすような鼓動を感じ始める。

力強く叩かれるカホン、時折、「シャーン!」と鳴り響くシンバルがアクセントになる。

終盤になるにつれ、リズムはどんどん速くなる。
本当に人間が叩いているのか?と疑ってしまうようなスピード、そして激しさ。
陳腐な表現しかできないのが申し訳ないが、まさに千手観音、阿修羅のような動きで、カホンを叩き続ける村岡。

ステージ状のその姿を見て、次第に、観客も手拍子でそれに応えるようになる。
カホンの打音と、観客の手拍子が融合する。

パフォーマンスが終了すると、観客からの歓声と万雷の拍手が会場に鳴り響く。
村岡は笑顔で感謝を伝える。

「打音だけで、こんなことができるのか!!」

筆者の素直な感想だ。

リズムだけのライブと聞くと、退屈そうに思う人もいるかもしれない。
メロディもなければ、歌もない。
打楽器から発せられる、リズムだけのライブ。

しかし、村岡の披露したパフォーマンスは、そんな先入観を吹き飛ばすものだった。
リズムだけで、極上のメロディラインを表現したのだ、と筆者は思っている。
リズムの中に、メロディが感じられ、1つの曲を作り出した。
その曲に感動したという感覚に、筆者は包まれていた。

村岡の素晴らしいパフォーマンスを目の当たりにし、続く奏者への期待も高まる。
これは、他の観客も同じだったと思う。
ステージ上では、次のパフォーマンスの準備が始まっていた。

かとうめい&リリカ(ずっちーず)

感情あふれる素晴らしい曲を聞かせてくれた、かとうめい(左)とリリカ(右)

続いて登場したのは、カホン奏者・かとうめいとリリカ。

かとうめいは、ドラマーやパーカッショニスト、そしてカホン奏者として活躍している。
「打楽器の魅力をもっとたくさんの人に伝えたい。ドラムやカホンを通して、音楽で人を幸せにしたい」という思いで活動している。

実は、筆者は彼女に何度かお会いしており、カホンのワークショップにも参加せてもらっている。
いわば、筆者のカホンの師匠といったところだ。

リリカは、沖縄の女子スリーピースバンド「ずっちーず」のギターボーカルとして活躍するかたわら、ソロとしても活動している。
彼女の特徴といえば、そのハスキーで感情豊かな表現を生み出す歌声だ。

高校2年生の頃に声変わりをした頃から、ハスキーな声になったそうだが、その声が魅力的な武器となっている。

筆者は彼女とも1、2度会っており、その歌声に魅了されたひとりである。

パフォーマンスが始まる。
リリカのハスキーで、感情に訴えかけるような歌声が会場を包む。
いつ聞いても、心がギュッとする素敵な歌声だ。

かとうめいは、まずウィンドチャイムで、静かに曲に寄り添う。
そして、曲の盛り上がりとともに、カホンを叩きリズムを刻んでいく。
リリカの歌声と、かとうめいのリズムが溶け合い、ひとつになる。
観客は身体を揺らしながらリズムを取り、曲の世界へと引き込まれていった。

2人が奏でる曲は、不思議な雰囲気をまとっているように感じる。
リリカの魅力的な歌声に、そっと寄り添うような、かとうめいのカホン演奏。
どちらが主張するのではなく、お互いが、その楽曲の良さを引き立てようと力を合わせているような感じだ。
手をつなぎながら歩く、仲の良い2人という光景が浮かんだ。

その雰囲気を感じているのか、観客もステージを優しい目で見つめている。
最後は手拍子も起こり、2人の演奏を心から楽しんでいるようだった。

全5曲の演奏を終えると、観客から大きな拍手が起こった。
リリカの歌声と、かとうめいのカホンのリズムが観客の胸をつかんだことが分かる瞬間。
筆者は、この2人の演奏をもう1度、いや、何度でも聞きたいと思った。
それくらい、魅力的な2人の演奏だった。

カホン座談会

カホン座談会に参加した地元の5人(右端のKAZUは沖縄出身ではないにもかかわらず笑)

HAKO FESでは恒例となっているカホン座談会がスタート。
当初は、カホンメーカーを招いて行っていたそうだ。
カホンメーカーが語る熱い想いが好評で、カホンにかける気持ちが伝わる人気のコーナーになっていったという。

現在は、カホンメーカーが参加できない場合、出演するカホン奏者がステージ上で座談会を行うスタイルとして継続しているそうだ。

今回、ステージに上がって座談会に参加するのは、主催の村岡と地元沖縄のカホン奏者「5人」である。

5人と紹介されたものの、右端に座るKAZUは沖縄出身ではない。
が、確かに雰囲気は完全に沖縄出身だ。
この紹介に、会場からは笑いが漏れていた。

最初に、自己紹介とカホン歴、カホンを始めたきっかけが語られる。
五者五様、さまざまなきっかけが語られ、観客からは拍手と笑いがあふれる。

そして、カホンについて語るときの5人の楽しそうな表情は、とても印象的だ。
本当に楽しそうに、愛おしそうに語る5人。
その顔は笑顔にあふれており、愛を感じることができた。

また、カホンを練習する際のこぼれ話や苦労、カホンの選び方、自分が使用するカホンへのこだわりなどが語られた。
観客からは感心したようなため息が漏れる場面も。

座談会は、カホンを愛する人たちの、心からのカホン愛とカホンへの尽きない興味・関心が語られた。
その姿を見た観客の中には、きっとカホンに興味をもった人もいたのではないだろうか。
沖縄の地にも、カホンの種が植えられた瞬間だった。

カホン即興セッション

続いてはカホン即興セッションだ。
制限時間2分間、決まりごとなしの1体1形式。
言い換えれば、カホンバトルと言っても良いかもしれない。

どのような組み合わせになるのか、観客はもちろん、奏者もドキドキワクワクの展開だ。
即興というのもライブ感があり、強く惹きつけられる。

ステージ上には1組目の奏者がスタンバイしている。
いよいよ即興セッションの開幕だ。

1組目 ひぃふぅみぃ・かとうめい

かとうめいとひぃふぅみぃ(右)のセッション。

1組目は、ひぃふぅみぃと、かとうめい。

ひぃふぅみぃは、ラジオリスナーとして、そしてラジオパーソナリティーとして有名な人物だ。

スネアの連打からバスドラムの連打で始まったセッション。
先ほど、カホンバトルと表現したものの、ラップバトルのように交互に行うのではなく、2人がともに叩き合う形式だ。

お互いの反応を見ながら、そして呼吸を合わせるように叩き合う2人。
プロとして全国を回り、多くの人を魅了している、かとうめいのカホンの素晴らしさはもちろんだが、ひぃふぅみぃの力強いカホンも素晴らしい。

アップテンポで叩き合う2人の表情が本当に楽しそうで、その表情に釣られて観客の心も楽しいビートに踊らされていく。

2分間という短い時間、その中で、ひぃふぅみぃとかとうめいのリズムが刻まれていく。
村岡からカウントダウンの声がかけられる。
アップテンポから次第にスローに。
最後は、ひぃふぅみぃの「ごっくんちょ」の声で終了。
この「ごっくんちょ」は、ひぃふぅみぃの決め台詞で、沖縄県内では知らない人はいないであろう言葉だ。
観客もそれを知っているからだろう、笑いと大きな拍手を送っていた。

2組目 中村圭太・みこ

中村圭太(左)とみこ(右)のセッション

続いてステージに上がったのは、中村圭太とみこ。

みこは、音楽だけでなく、表現の幅を広げるために現在、さまざまな活動中。

2022年には、オーディエンス参加型のイベントメディア『Mudia』が主催する“Sing a Palette vol.2”にて4月のグランプリを獲得し、楽曲も発表されている。

中村圭太は、カホン歴6年の奏者で、他のパーカッションを演奏していた中でカホンに出会い叩き始めたという経歴を持っている。

ゆっくりとした叩き出しから始まった2人の演奏。
先ほど演奏した2人がアップテンポで魅せたのに対し、中村とみこはスローながら力強い音で観客を魅了する。

中村が軽やかなスネアでリズムを取り、みこが重みのあるバスドラムでリズムを重ねていく。
ともすると、退屈になりがちなスローテンポ。
しかし、この2人が叩くリズムは、不思議と退屈に思わない。

その心地良さは、一定のリズムを2人が協力しながら叩いているからだろう。
即興ながら、このように力を合わせられる点、本当に素晴らしいと感じた。

残り30秒の掛け声がかかると、ややテンポをアップさせ、観客を乗らせた上で終了。
カホンを叩く2人の真剣な表情が素敵だった。
観客も、その真剣さと心地良いリズムに大きな拍手で応えていた。

3組目 宮當秀幸・KAZU

宮當秀行(左)とKAZU(右)のセッション

宮當秀幸は沖永良部島出身、現在は沖縄で活躍しているドラマーであり、パーカッショニスト。
県内外のアーティストのサポートを中心に活躍している。

KAZUは、東京ディズニーランドのバンドオーディション合格をきっかけにプロ活動を開始し、国内外で活躍するドラマー、パーカッショニストだ。
ドラマーとしての魅力はもちろん、カホン奏者としての魅力にもあふれる人物である。

プロとしても活躍する2人の共演。
観客の期待が高まる中、ステージ上では2人の準備が整った。

アップテンポのビートを刻んでいく2人。
「タタタタ、タタタタ」
「ドドン、ドドン」
会場中に満ちていくリズムの波に、観客は圧倒されていく。

独特な動きでカホンを叩くKAZUに対し、KAZUのリズムに合わせながら静かに叩く宮當。
この対照的なパフォーマンスも、観客の目を引きつけていく。

残り30秒の合図を皮切りに、2人のテンポと力強さは加速。
最後は、ピタリと合わせるように音を止め切って終了した。

その圧倒的なパフォーマンスに観客から、大きな拍手がわき起こる。
動的な叩き方を見せたKAZU、静的な叩き方を見せた宮當。
それぞれのパフォーマンスの見せ方なのかもしれないが、即興で合わせられる2人に驚きを隠せずにはいられなかった。

4組目 ひがっす・村岡広司

村岡広司(左)とひがっす(右)のセッション

最後は、HAKO FESを沖縄で開催するために奔走した我らがひがっすと、HAKO FES主催の村岡が登場。

ひがっすは、村岡のパフォーマンスを見てカホンを始めたという。
ひがっすの初期衝動となった村岡との共演は、どれほど嬉しいものだろうか。

村岡は、高校の頃に吹奏楽部に入部し、トランペットを担当。
高校3年生の頃から曲作りをするようになり、それが楽しく、夢中になったことがきっかけとなり、今のカホン奏者「村岡広司」につながったそうだ。

HAKO FES主催として全国を回るのはもちろんだが、他のミュージシャンとの共演など、幅広く活躍している人物である。

ズシンと重いバスドラムの音、激しいスネアの音が響き渡る。
パフォーマンスの見せ方を分かっている2人は、互いを煽り、観客も煽っていく。

今までのセッションが「共演」であるならば、この2人のセッションは「対決」のような雰囲気だ。
もちろん、それはライブパフォーマンスとしての一環である。

その証拠に2人の表情の楽しそうなこと。
睨みつけるような表情を見せながら、次の瞬間には柔和な表情になり、笑顔さえこぼれている。

村岡が叩くリズムを追いかけながら、時には、ひがっすのリズムに村岡が乗っかりながら奏でられるリズムだけの音楽。
その力強さ、その軽快さ、すべてがひとつになり、聞き手の全身を包み込んでいく感覚になる。

最後は、テンポアップをしながら、「タンタタタン、タン、タンタン※」と落としてしまうあたり、遊び心いっぱいの2人。

演奏を終えた2人には、観客から惜しみない拍手が送られる。
その拍手には「もっと聞きたい!」という思いがこもっていた。

※コメディやお笑いのオチでよく使われる曲で、元になったのは「Shave & a Haircut, Two Bits」とされている。

KAZU&Serika

KAZUとSerika(右)は力強く、切々とした曲を披露してくれた。

続いて登場したのは、KAZUとSerikaの2人。

Serikaは、沖縄で活躍するシンガーソングライターだ。
筆者自身も、何度かライブでその歌声を聞いている。
彼女の歌は、人間の持つ感情の機微を切々と表現している。
力強い歌声が、その感情を聞いている人に浮かび上がらせるような、そんな素敵なシンガーだ。

そして、リズムを担当するのは、先ほど素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたKAZU。
力強いストロークには、力強いバスドラムの音を合わせ、優しく切ない音にはウィンドチャイムを鳴らして寄り添う。

音楽には「リズム」が大事だということが、よく分かった瞬間だった。

Serikaの奏でる音楽、その歌声だけでも、集まった観客は魅了されただろう。
それくらい彼女の歌声や曲には力があるからだ。

そこにKAZUが生み出す、力強く、繊細なリズムが合わさったとき、曲の魅力は何十倍にも膨れ上がった。
前へ出るわけでもなく、だからといって、ただ寄り添うだけでなく、その存在を楽曲に溶け込ませるように叩かれるカホン。

かとうめいとリリカが、互いに寄り添う親友を思い起こさせるような演奏に対し、KAZUとSerikaは、互いを高め、競い合うような仲間を思い起こさせてくれた。

すべての楽曲が終了したとき、観客からは感嘆の吐息が漏れると同時に、大きな拍手が送られる。
素晴らしい共演を見ることができたことへの賞賛が、ライブ会場を埋め尽くしていた。

即興セッション

出演者全員がステージに上がり、即興セッションを行った。

最後は、カホン奏者だけではなく、ゲストミュージシャンも含めた出演者全員がステージに上がり、即興セッションが行われた。
さらに村岡からは、観客も手拍子やシェイカーで参加してほしいとの言葉が。

Serikaがメロディを奏で始めると、観客からは手拍子が起こり、カホン奏者たちは思い思いにカホンを叩き始める。
会場全体がひとつになっていく。

リリカとSerikaは、今日のイベント参加について即興で歌をつけていく。
即興のため、難しかったとは思うが、2人とも素直な気持ちを観客に伝えてくれた。
観客は、それに応えるように手拍子に力が入る。

そして、観客も参加してセッションが繰り広げられる。
KAZUが叩いたリズムを、観客は拍手で再現するという形式のものだ。

観客は楽しそうにリズムを叩く。
ステージ上の奏者たちの表情も楽しそうだ。

最後は、カホンソロ。
8人が思い思いに、それぞれのカホンを叩いていく。

みこはゆったりとしたリズムから、最後は「イーヤーサーサー」と沖縄の合いの手を入れて、かとうめいは転がるように軽やかなリズムを叩く。

中村圭太が軽やかながらも力強くリズムを奏で、ひぃふぅみぃは、まさかの口を叩いてドラムを再現。
突然の出来事に、観客からは笑いが起こるも、最後はカホンを軽やかに叩き、拍手が送られた。

宮當が軽やかでノリの良いリズムを刻み、観客を載せたかと思えば、村岡はかなりハイテンポになったメロディに合わせて、カホンを巧みに叩き、美しいリズムを響かせる。

KAZUはシンバルも入れながら、力強く、カホンを叩き、終盤はダブルストロークで叩き、小刻みで軽やかなテンポを奏でた。

ソロパートのトリはひがっす。
軽やかに、力強いリズムを叩くひがっすの顔は、何とも楽しそうだ。
このイベントをやり切ったという喜びが、表情とカホンのリズムに出ていたように思われる。

最後は、再度全員でカホンを叩く。
力強い響き、軽やかな響き、転がるような響きが折り重なる。
終盤、テンポアップしたメロディにも全員が対応し、美しいリズムを織りなしていく。

カホンの音とシンバルの音が鳴らされる。
最後の瞬間だ。
観客はもちろん、奏者全員が思ったに違いない。

「まだ終わってほしくない」

美しいリズムの余韻に浸りながら、沖縄で初開催されたHAKO FESは終了した。
公演時間は2時間。
あっという間の時間だった。

リズムという魔術

最後は全員揃って写真撮影。笑顔あふれる素敵な表情だ。

誰もが思うのではないだろうか。
リズムは、音楽の脇役ではないかと。

しかし、それは間違いだと気づく。
リズムこそ、音楽の重要なパートなのではないかと。

「カホンの祭典 HAKO FES」は、その思いを強く感じさせる、素晴らしいイベントだった。
筆者自身、「リズムだけの音楽イベントって大丈夫か?」という疑問から入っていた口の人間だ。
しかし、その疑問はすぐに消し飛んでしまった。
カホンが紡ぎ出すリズムは、音楽そのものだったと言っても過言ではないだろう。

当日、ライブ会場に集まった観客たちも同じ思いだったのではないだろうか。

このような機会を作ってくれた、ひがっすに感謝したい。

また、HAKO FESという素晴らしいイベントを主催し、カホンの楽しさ、面白さを伝え続けている村岡広司にも、心から感謝している。

さらに、このイベントに参加してくれたカホン奏者、ゲストミュージシャンにも感謝しかない。

KAZU、かとうめい、宮當秀行、ひぃふぅみぃ、みこ、中村圭太、リリカ、Serikaに感謝。

本当にありがとうございました。

また、沖縄の地で「カホンの祭典 HAKO FES」が開催されることを心待ちしている。

会場:ONE COLOR

開催日時:2024年11月3日

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