時は2024年11月24日。
沖縄県那覇市にある福州園から県庁前へ向かう道路上で、僕は高揚感と安堵感を覚えながら夜空を見上げていました。
星が出ていたかどうかは、ハッキリ言って覚えていません。
ただ、覚えていたのは、素敵なイベントに参加できたという嬉しさでした。
「コムチャvol.1 in 福州園」
音楽、お笑い、癒しが三位一体となり、お客さんに「あたたかさ」を届けたイベントの様子をレポートします。
イベント会場「福州園」について

福州園は、中国福建省福州市と那覇市の記念事業として、那覇市制70周年と友好都市締結10周年を祝い、誕生しました。
琉球王国と福州市の絆は、700年以上前の鎌倉時代である14世紀にまでさかのぼります。
琉球王国は国際貿易の拡大により、素晴らしい繁栄期を迎えていました。
王国の繁栄を支えた立役者は、福建省から渡ってきた久米村(クニンダ)の住民たち。
クニンダの住民は外国語の通訳能力や高度な航海技術を有しており、琉球王国の教育発展にも大きな影響を残しています。
琉球初の公教育施設「明倫堂」が久米村に開設されたのは、その象徴的な出来事だったのです。
現代の那覇市久米に佇む福州園は、往時のクニンダがあった土地に造園されています。
福州園の近隣には、企業が集まるビジネス街が形成され、便利な立地を活かした宿泊施設が多数点在。
福州園からほど近い場所には学校施設があり、通学時間帯には活気あふれる生徒たちの姿が見られます。
訪れると、商業地区と観光名所、住宅地が調和した都市空間に、静かな庭園の息吹を感じられるでしょう。
地域住民の散歩コースやビジネスパーソンのリフレッシュスポット、観光客の記念撮影スポット、学生たちの放課後の交流の場、それが福州園です。
訪れる人それぞれの目的に応じた楽しみ方ができる憩いの空間なのです。
コムチャは出演者とスタッフの手作りイベント
コムチャは、出演者とスタッフが一心同体となって作り上げた、手作り感溢れる「あたたかい」イベントでした。
事前告知にラジオに出演したのは、出演者だけでなく、スタッフも積極的に参加。
かく言う僕も、素人ながらラジオ番組2つに出演させていただきました。
当日の会場設営についても、スタッフと演者がともに行うという、和気藹々とした雰囲気で行われたのです。
初めて顔を合わせる方もいる中、誰もが積極的に手伝って会場を作り上げていく姿は、本当に素敵なものでした。
その中でも、スタッフの皆さんの働き振りは目を見張るものがありました。
会場前で演者の誘導、会場内では設営の指示、リハーサルなど、数多くの業務を笑顔で進めるスタッフの皆さん。
そのはつらつとした姿に、出演者の皆さんも笑顔になれたのだと感じました。
出演者のひとりとして参加させていただいた僕も、心から感謝しています。
本当にありがとうございました!
いよいよ「コムチャvol.40 in 福州園」開幕!
今回開催された「コムチャvol.40 in 福州園」の出演者は、なんと総勢29組!
さらに、福州園内でリラクゼーションなどの出店も含めると、参加者数は100名近くになるのでは?という大規模なイベントでした。
しかも、MCには、沖縄の老舗事務所・FECから「まーちゃん」さん、ラジオパーソナリティーや昭和の歌うたいとして活動する「うしろのかなめ」さん。
人気者の2人が、集まったお客さんを笑わせ、楽しませる。
そして、演者を呼び込み、一気にボルテージが上がる!
いよいよ、本番がスタートした。
やきとりバンド

先陣を切って登場したのは、やきとりバンド。
沖縄のイベント会場で、一際華やかで楽しく音楽を奏でるバンドを見かけたら、それは絶対やきとりバンドに違いないでしょう!
ニワトリやヒヨコ、シェフの格好をしたバンドメンバーが、軽快なリズムに合わせて焼鳥をテーマにした曲を披露してくれます。
当日は、メインボーカルのシェフが仕事のため不在だったものの、開幕をからノリノリの曲を奏でてくれました。
お客さんも一緒にできる振り付けで踊ると、客席のボルテージも上がり、イベントを楽しむ空気が作りあげられていきます。
屋外、屋内を問わず、音楽ライブやイベントのトップバッターは、やきとりバンドしかいないでしょう!
CoCo

やきとりバンドの後を受けて登場したのは、沖縄でアイドル活動を行っている「CoCo」さん。
CoCoさんは、毎週月曜日にFM NAHAで放送されている「おくま&CoCoの週末はしゃいでShow Time!!」のパーソナリティも務めています。
沖縄のライブハウスを中心に活動しているので、「見たことある!」という人も多いのではないでしょうか。
可愛らしい振り付けで、一生懸命に歌う姿は、どんなアイドルにも負けていませんでした!
終演後のトークでは、まーちゃんさんに気に入られ、何度か呼ばれていましたよ。
もしかしたら、今後、FEC所属のアイドルとしてデビューする!かも?です。
うたゆん(第1部)

イベント会場は、観光客の皆さんの姿もチラホラと見えはじめてきていました。
そんな中、登場したのが琉球大学のアカペラサークル「うたゆん」!
うたゆんとは、沖縄の方言で「歌う」という意味を持っており、サークルの皆さんの歌好きな姿勢が見えて、素敵な名前だなぁと、僕は思っていました。
もちろん、歌が好きなだけでなく、その実力は折り紙付き。
ひとたびアカペラが始まると、福州園に観光に来ている外国人の皆さんも足をとめてリズムを取るほど!
それぞれのユニットが、さまざまな曲を披露するたびに会場からは大きな拍手が上がっていました。
2000年代から人気を博してきたアカペラ。
沖縄では、アカペラの未来を担う若者たちが、健やかに育ってきています。
今後の活躍が非常に楽しみです!
うたゆん(第1部)参加ユニット一覧
あしび
Sabão.D.celery
MASOCLUSTER
ノーツトラベラー
たこわさ
おきらく亭てぃだ好

沖縄で落語と言えば、北山亭めんそーれさんを思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、大の落語好きを自称する僕が思い浮かべたのは、「おきらく亭はち好」師匠でした。
落語芸術協会を脱会後、フリーの落語家として沖縄に移住。
沖縄に落語文化を広める活動を行っていた、まさに沖縄落語のパイオニア的存在の大師匠でした。
その弟子にあたるのが、おきらく亭てぃだ好さん。
笑顔がまさに「てぃだ(太陽)」のような女性落語家さんです。
披露したのは「平林」。
漢字の読みを忘れないように、リズムに乗せて大声を上げながら歩く少女の姿が、目の前に現れてくるような話ぶりに感動しました。
沖縄では、なかなか落語を見る機会がありませんでしたが、最近、寄席がオープンしたとのこと。
これから沖縄の落語文化が益々発展し、てぃだ好さんの落語が多くの方の目に、耳にとまることを祈念しています!
YoungBULLYZ

実のところ、数年前までヒップホップを聴いたことがなかった僕。
しかし、あるきっかけで聴くようになり、どハマりし、最近はハマりにハマっていたので、いち観客として楽しみにしていました。
楽曲が始まるとお客さんもビートにのり始め、僕自身も身体が勝手に動いてノリノリに。
初めて生でヒップホップを聴いたので、その感動もあり、一瞬で好きになりました。
特に、ラップを始めた頃からの半生を歌った曲は、歌詞もしみる内容で心を揺さぶられます。
まだヒップホップに触れていないという方、ちょっと苦手という方にも聴いてほしい、そんな素敵な曲。
沖縄のヒップホップ界、かなり凄い!と感じることができました。
メダチタガリ

会場の空気も、ノリノリになってきたところで登場したのが、女性4人組のボーカルグループ、メダチタガリ。
もともとは個々で活躍していたという、ゆいこ、りりあ、せな、なるみの4人が、Little Glee Monsterに憧れたことから結成されたとのこと。
歌声は力強さと繊細さが混じり合い、聴いている人々の心を震わせるものでした。
しかも、結成から約5ヶ月という短い期間ながら、ハーモニーも美しく、4人の絆の強さを感じさせてくれます。
実は僕自身、なるみさんを知っており、お笑いライブの舞台でショートコントをしていたのを拝見していました(笑)。
その姿とのギャップに驚きつつ、素晴らしい歌声に感動。
今後の活躍がとても楽しみなグループです。
しんたにあきこ

続いて登場したのが、しんたにあきこさん。
披露したのは、自身が書いた絵本「テントウミツバチカマキリクワガタムシ」の朗読です。
しんたにさんは、沖縄で活躍中のイラストレーター。
絵本は、こどもの居場所作りを目指して活動しているNPO法人中野こども空間の設立20周年を記念して出版されたものです。
「なかのくきたのはら」という架空の原っぱにやってきた男の子が、かっこいいと思ったムシたちと欲しいものを交換していくというお話。
自分らしさや、自分を大事にするという大切な気持ちに気付かされる素敵なストーリーでした。
子どもだけでなく、大人の心にもグッと迫ってくる言葉に、ハッとした人も会場には多かったのではないかと思います。
しんたにさんの優しい声が、「そのままの自分で大丈夫」と言ってくれているようで、僕も涙ぐんでしまいました。
RED SOUL

ついに、沖縄のヒップホップ界で人気を得ているRED SOULさんが登場。
少々、強面ながら、声の優しさのギャップにやられてしまいます。
さらに、お子様愛溢れる素顔も見られ、さらにハートを鷲掴み。
そんな愛すべきお子様に見守られながら、楽曲を披露されていました。
特にお気に入りになったのが、先ほど登場して素晴らしい楽曲を披露してくれた、YoungBULLYZさんも参加している楽曲。
弱気になったとき、何かを諦めてしまいそうになったとき、そんな心を奮い立たせてくれるような内容に感動してしまいました。
誰もが何度も経験するであろう、壁にぶつかってしまい、挫折してしまう瞬間。
そんなときにも、下を向かずに前へ進むことを教えてくれる、そんな素敵な曲でした。
ヒップホップにまだ触れたことのない方は、ぜひRED SOULさんの楽曲を聞いてみてください!
塩々亭まぁす

琉球新報の記者としての顔も持つ、塩々亭まぁすさんの登場。
MCのまーちゃんさんと毎週水曜日に、ニュースペーBar『泉崎コメディクラブ』を開催しており、トークスキルも抜群のまぁすさん。
披露してくれたのは八重山芸能を落語です。
八重山芸能、初めて見たのですが、これが面白い!
まぁすさんの踊りや歌いも良かったと思うのですが、八重山の独特な形式が非常に興味を惹かれました。
落語は「寿限無」を沖縄県バージョンにアレンジされており、なかなかエッジの効いた内容。
記者目線という鋭さと、柔らかな語り口に会場は爆笑の渦に包まれていました。
風刺は、お笑いの原点なんだと改めて思わされた瞬間でした。
多くの人に、まぁすさんの落語を見て、聞いてもらいたい!
うたゆん(第2部)
福州園が、次第に夕闇に包まれる頃、うたゆんメンバーの歌声が園内に響き渡った。
客席にも人が集まり、歌声だけが織りなす素晴らしいハーモニーに身体を揺さぶったり、手拍子を打っている。
第2部に登場したメンバーも実力十分。
パワフルで楽しくて、集まったお客さんもノリノリになっていた。
アニメソングや懐かしの楽曲も披露され、誰もが楽しめる内容に、選曲の妙を感じました。
音楽も誰かを楽しませるためのもの、つまりエンタメなのだなと改めて感じさせられ、琉大生の皆さんの「お客さんを喜ばせたい!」という気持ちに感動した限りです。
うたゆん(第2部)参加ユニット一覧
apollombo
KATABHABA800
Voiceちゃんぷるー
アカペラの力強さに魅了され始めてきた会場で、音楽部門のトリを務めたのが、沖縄で歌声を響かせる琉球アカペラグループの「Voiceちゃんぷるー」さん。
沖縄県内の観光地はもちろん、ライブハウスやイベントにも参加しています。
仕事の合間を縫って、アカペラを続けるのは、なかなか厳しいのではないかと、勝手に心配してしまいますが、そんな心配はご無用!
本当に力強く、身体中に響き渡る歌声に驚かされます。
相当の練習を積み重ねていないと、ここまでのパフォーマンスはできないのではないでしょうか。
すべてのアカペラグループ、ボーカルグループに言えることなのですが、周りの建物や木々を震わせるような力強さが凄い!
沖縄の音楽界、凄いポテンシャルがあるな、と勝手ながら思わせていただきました。
何より、お客さんの楽しそうな、そして嬉しそうな顔を見ていると、本当にそう感じました。
最高の歌声に背中を押されるように、最後は僕自身も参加した「スタンドアップコメディ」が開幕です!
スタンドアップコメディ
今、沖縄で静かなムーブメントを起こしつつあるのが「スタンドアップコメディ」です。
自分自身の思いを、マイク一本に向かってぶつけるコメディスタイル。
身の上話や時事ネタ、政治・経済・宗教・下ネタまで、さまざまなネタを披露するのが、スタンドアップコメディの素晴らしさ。
今回、スタンドアップコメディに参加した皆さんも、個性的なネタを披露して客席を沸かせていました。
①1.2の大心
50音のどれかひとつを言ってもらえれば、その場でギャグを披露するという、離れ業を持つのが1.2の大心さん。
今回もお客さんから50音を言ってもらい、素早い返しで笑いを誘っていました。
さすがは大心さん、素晴らしい舞台でした!
②へっさん
ずばり、僕です(笑)。
今回、初めて舞台の上でスタンドアップコメディをさせてもらいましたが、緊張で何も思い出せないほど。
ですが、お客さんのうなずきや声が聞こえて、ホッとひと安心したのは覚えています。
僕は面白いことは話せないので、都市伝説を語らせていただきました。
③響しぇんしぇい
沖縄のお笑いファン、知らない方はいないほど有名な響しぇんしぇいさん。
しかし、その話術は芸人さんにも負けず劣らずピカイチです。
身近な、誰もが体験する日常的な話を、ユーモラスに語る姿が本当に素敵でした!
お客さんを笑顔にする力、やっぱり笑いの力って凄いなと改めて感じさせてくれました。
④キノコビーツ
コザの街で米兵相手にラップを通じて愛と平和を訴える活動を行っているというキノコビーツさん。
音楽とスタンドアップコメディをこよなく愛しているというだけあり、スタンドアップコメディの真髄をみせていただきました。
お客さんと積極的に絡んでいく姿、それに巻き込まれていくお客さんの姿、目の前で繰り広げられる光景は、まさに「コメディセラー(NYにあるコメディクラブ)」のよう。
キノコビーツさんの圧倒的なパフォーマンスに脱帽!
⑤まーちゃん
沖縄のお笑いといえばFEC!と、勝手に思っている僕ですが(笑)、その中でも異彩を放っているのがまーちゃんさんです。
沖縄が抱える基地問題を、コミカルに、でもシビアに表現する「お笑い米軍基地」は、沖縄が誇るコメディショー。
本イベントのトリも、時事問題を絡めつつ、コミカルな語り口で笑いと歓声、拍手を攫っていきました。
キレにキレる笑いの技は、絶対に沖縄一です。
機会がある際には、是非とも見ていただきたい芸人さんの一人としてご紹介しておきます。
オープンマイク
誰もが参加できるオープンマイクには、わったぁじゃあぐわぁBANDのわちゃコさんと、ヨーガリーまさきさんが登場!
お笑い芸人として活動もしているわちゃコさん、明るい語り口がお客さんを笑顔にしてくれました。
ヨーガリーまさきさんは、FEC所属のお笑い芸人。
発想が素晴らしいモノマネを披露して、お客さんから爆笑をかっさらっていました。
2人とも、さすがの話術。
お客さんに楽しんでもらいたい、という気持ちがあふれ、それがお客さんに伝わり爆笑を取る。
お笑いの本質、真髄を勉強させていただきました!
グランドフィナーレ
グランドフィナーレは出演者全員が参加して、BEGINさんの「島人ぬ宝」を大合唱。
5時間以上にわたるイベントが、いよいよ幕を閉じるときがやってきました。
出演者全員の顔は、本当に晴れやかで、素敵なものだったと思います。
思いますと言うのは、僕自身が出演者として、この大合唱の中にいたため、確認することができなかったから。
それでも、みんなの歌声を聞けば、その表情を思い浮かべるのは容易だったと思います。
それだけ全員の声に嬉しさが込められていました。
福州園に響き渡る、島人ぬ宝。
5時間という長丁場、誰にも疲れはあったはずなのに、なぜか終わってほしくないという感覚が、会場全体を包んでいるような不思議な空気。
島人の宝を歌い終わり、ついに「コムチャvol.1 in 福州園」は幕を閉じました。
感動的な、そして、とてもあたたかな余韻を残しながら。
最後に感謝を
コムチャvol.1 in 福州園は、大成功のうちに幕を閉じました。
この大成功は、出演者の皆さんのパフォーマンスの素晴らしさもあったでしょう。
しかし、一番の功労者は、イベント会場を駆け回り、出演者が心地よくパフォーマンスできるようにとサポートしてくれた運営スタッフの皆さんです。
イベント前、イベント中、イベント後、皆さんの働きがあったからこそ、最高のイベントだったと言いきれます。
本当に、本当にありがとうございました!
またの機会があれば、ぜひ呼んでください!
スタッフの皆さんに感謝を込めて
to
明日見さん
美樹さん
ちひろさん
ASKAママさん
りょうくんさん
あーちゃんさん
なーつーさん
響しぇんしぇいさん
なぁおさん
しゅぶさん

※コムチャvol.1 in 福州園 出演者様一覧は以下の画像でご確認ください
