インタビュー

人をつなぐ天才は本業×お笑いの二刀流!沖縄と各地をつなげる人・ひがっすさん

新連載インタビュー企画・ENTABIZ OKINAWA〜ビジネスは舞台だ。生き方こそがエンタメだ〜vol.1

この連載は、本サイト管理者である「へっさん」こと平敷篤が、沖縄のエンタメやビジネスを担う人々のインタビューを行い、沖縄のインタビューライターのメインストリームを目指す企画です。

シリーズ第1回目を飾っていただいたのは、沖縄で本業を持ちながら、アマチュア芸人、ミュージシャンとして活動をしている「ひがっす」さん

筆者の恩人であり、プロレス仲間でもあります。

果たして、「ひがっす」とは、どのような人物なのか?
なぜ本業の他にアマチュア芸人としての活動を続けるのか?

そのリアルな姿・本音を聞いてみました

アマチュア芸人「ひがっす」のバックボーン

なぜ本業を持ちながら、アマチュア芸人をしているんですか?

この質問に、ひがっすさんは、少し悩みながらも、こう言います。

それは、やっぱり好きだからですね

もともとお笑いが好きだったというひがっすさん。

学生の頃から、ドリフやひょうきん族などのお笑い番組を録画して見ていたそうです。
さらに、大学、就職してからもお笑い番組を見続ける日々。
就職した後は、ライブ会場に足を運ぶほどにハマっていたと言います。

ひがっすさんは、お笑い番組を見ていただけではないそうです。
お笑い番組にハマった学生の頃から、クラスの仲間内でお笑いや漫才の真似事をしていたと語ります。

さらに、驚いたことに社会人の頃には、職場の後輩とコンビを組んでM-1に参戦(2010年、2015年)したこともあるのだとか。

「日常の中にお笑いがあったからかなぁ。うん。お笑い的なものが好きだったっていうのかな。うん、それだけ」

日常にお笑いが身近にあったこと。
これが、ひがっすさんがアマチュア芸人を始めたきっかけだと、笑顔を交えて話す、ひがっすさん。

アマチュア芸人・ひがっすの原点は、幼少期の頃からお笑いが好きだったことのようですが、インタビューを進めていくうちに、沖縄のお笑いの原点にも関係していることが判明します。

ひがっすさんが大学生の頃に、沖縄はお笑い新時代を迎えようとしていました。
その代表が、「笑築過激団」と「FEC」です。

笑築過激団は、深夜番組「お笑いポーポー」に出演していたお笑いユニット。
深夜帯ながらも人気を博し、伝説として語り継がれる番組です。

そして、FECは、山城達樹さん(故人・お笑いコンビ「ファニーズ」として活躍)が立ち上げた、沖縄のお笑い・芸能事務所のパイオニアです。

ひがっすさんは、お笑いポーポーが好きで見ていたのはもちろん、大学時代にFECの人たちと授業を受けたり、その活動を見てきたと言います。

生活に密着している部分と、自分が楽しいし、人を楽しませるってところがあるのが根底にあるのかもしれませんね

ひがっすさんというアマチュア芸人のバックボーンには、偶然なのか、必然なのか、沖縄の新しいお笑い文化の登場、それに関係する人々との交流という環境と、お笑いが好きという気持ちがあるのです。

本業×アマチュア芸人としての苦労とは?

本業を持ちながら、アマチュア芸人をすることの苦労には、どのようなものがあるのか聞いてみました。

一番はやっぱり、日程調整ですね。仕事と重なると、本業にもライブの主催者にも迷惑をかけてしまうから

特に、ライブの日程には気を遣うといいます。

ひがっすさんは、FECが主催するライブにゲスト出演することが多いのですが、日曜日開催のライブについては比較的出演しやすいそうです。

一方、平日の夜に開催されるライブは、かなり気を遣うと言います。

「平日だと、たとえば5時に仕事が終わって6時にリハってなると、急に残業がってなることもあるし。
他にも、出張とかもあるかもしれないし」

その根底には、どちらにも迷惑をかけたくないという、ひがっすさんの真面目さと優しさがにじみ出ているようです。

「あとは、、集客面も大事にしています。
特に、主催としてイベントを開催する時には特に気になりますね」

ライブに出演する、イベントを主催する際には集客も気になるし、苦労するということを真剣に語っていました。

自分のためにお客さんを集めたいというよりは、「こんな素敵な人もいるんだよ、見ていってよ」という気持ちが強いというひがっすさん。

だからこそ、イベントの告知には力を入れるといいます。

それに、お客さんを呼ぶことも、呼んでくれた人の関係、信頼を築く上で大事にしています

ひとりの人間として、誰かのために全力を注ぐという、その気持ちが人と人とをつなぐ基礎となり、今のひがっすさんの活躍を支えているようです。

ネタづくりは苦労するもの?

苦労という話にかけて、「ネタづくり」の話もうかがいました。
多くの芸人さんが苦労しているであろうネタづくり。
ひがっすさんにとって、ネタづくりはどのようなものなのでしょうか?

「審査制のライブに毎月出るって自分に課した時は、休日にファミレスとかで作っていました」

どうやら、ネタづくりに苦労はしていた様子です。

「でも、今は以前作ったネタのリメイクというか。
1回で終わりにするのはもったいないなって思って。
ライブによって客層は変わるし、この表現を変えてみようとか、この部分はもう古いなとか。
言葉をカットしてみたり、今流行りの言葉にしてみたりしてます

現在は、色々と工夫をしているというひがっすさん。

しかし、現代ならではの苦労もあるそうです。

「表現には一応、気を遣ってはいますね。
今は、細かいところまで気をつけておかないと大変ですから。
うん、表現は本当に大変かもしれないです

ちょっとした表現で、誰を不快にしてしまうか分からない現在。
芸人さんは、ネタづくりの際にも大変な苦労をともなう時代になっているのかもしれません。

そんな中、表現を気にしながら、客層に合わせたネタづくりを行うひがっすさんには脱帽です。

本業と芸人活動が相互に活かされることは?

本業をこなしながら、アマチュア芸人としての活動も行っているひがっすさんですが、お笑いの活動が本業に活かされることはあるのでしょうか?

筆者の素朴な疑問に、ひがっすさんは考えながら答えてくれました。

「う〜ん、職場でお笑いをやるって機会がないですからねぇ…、どうでしょう。
もしかしたら、あるのかもしれないですけど、今のところ、自分としては感じることはないですかねぇ

芸人の活動が本業に活かされていることは、自分の感覚としてはない、と答えてくれたひがっすさん。

それでは、逆に本業が芸人としての活動に活かされていることはあるのでしょうか?

「どうでしょう、う〜ん…考えてみたら、そんなに無い気がしますねぇ…。
これもないかもしれないです。
すいません…」

どうやら、ひがっすさんには本業と芸人活動について、深く考えずに自然体でやっているということのようです。

「あ、でも、ラジオをする上では、本業とかライブ活動してきたことでできた人間関係、人との繋がりは活かせているかもしれないですね

じっくり話を聞いていると、ひがっすさんが、本業や芸人活動が活かされている場面を教えてくれました。

ひがっすさんは、毎週金曜日の夜9時から放送されているコミュニティFM「ひがっすの、ひとつなぎラジオ」という番組のパーソナリティを務めています

その際のゲスト出演者への交渉時に、ご自身の活動が活かされているのではないかとおっしゃいます。

「あ、今思えば、仕事で司会をすることも多かったから、それが芸人活動、たとえばMCとか、ラジオとかに活かされているかもしれないね。
でも、これは司会の仕事が芸人活動に活かされたのか、芸人活動が仕事に活かされたのか、どっちが先かは分からないですね…」

卵が先か、鶏が先か問題だと、ひがっすさんはおっしゃっていましたが、トーク力やMC、ラジオパーソナリティとして場を回す力は、そこから得られているようです。

ひがっすさんのラジオを聞いてもらえれば分かるのですが、その場の空気を和らげたり、雰囲気を良くする技術が高いのが特徴的です。

ゲストが緊張感を持ちすぎないように、笑いを交えながら進行するので、番組を聞いている側も心地良く感じられます。

舞台を経験したからこそ感じること

ここで、芸人として舞台に上がって印象に残っていることを聞いてみました。

「FECさんのお笑い劇場(FECが月1回開催しているお笑いライブ)に出られる権利をかけて、開催されていたライブに出演させていただいたんですが、やっぱり中々ウケなくて、票が入らない。

だから、なかなか劇場に出演出来なかったんですけど、ある時、ギリギリの5 位に入賞して劇場のライブに出演が叶ったことがありまして、その時に、ライブを見に来ていた見ず知らずのお客様から、結婚式の司会を依頼したい、余興もお願いしたいですと依頼があって。

嬉しい気持ちと共に、誰がどこで見ているのか分からないから目の前の事に捉われてはいけないなって実感しました。

だからこそ、しっかりやろう!っていう気持ちが大事だと感じました。
お金を出して見に来ていただいているのですから、喜んでいただこうっていう気持ち、意識になってきました」

なかなか成果を出せなかった日々、そんな中で勝ち抜いて掴み取ったライブの出演権。
そこで偶然出会った人からいただいた、結婚式の司会や余興のオファー。
人とのつながりの大事さを感じたといいます。

「本当に誰が見ているのか分からないですから。
だから、僕は自分の主催ライブの告知はしっかりしますし、集客にも力を入れています。
せっかく本土から、この人を見てほしいってオファーしたのに、お客さんが少ないともったいないですよね。

人と人、土地と土地をつなぎたいと思って主催して、人が集まりませんでしたでは、僕自身もガッカリしちゃいますし。
僕の企画したライブを見て、この人と一緒にやりたいとか、この人を呼びたいって思ってもらえれば、人をつなぐっていう僕のミッションも果たすことになると思います

誰が見ているか分からない、だからこそモチベーションをさらに高めて臨む事が大事だと語るひがっすさん。

人をつなぐためには、人を集めることも必要

自分自身が広報としての仕事を経験しているからこそ、アナウンスすることが大事だと考えて集客にも力を入れると、ひがっすさんは言います。

「人をつなぐことが自分のミッション」と、熱を込めて語るひがっすさんの表情は、本当に晴れやかでした。

誰かと誰かつなぐ、どこかとどこかをつなぐ、という強い想いを持っているひがっすさん。
自身を通じてつながった人と人の絆が、さらに人をつなぎ、喜んでくれる助けになれば、その想いが本業を持ちつつ、芸人や音楽活動をしている原動力となっています。

ひがっすさんが目指すもの〜ひがっすフェスという夢〜

最後に、ひがっすさんの夢について聞いてみました。

アマチュア芸人として、カホン奏者として、ひがっすさんはどのような夢があるのでしょうか。

「それはもう、決まってますよね。
お笑いと音楽をかけあわせた、ひがっすフェスをやりたいですね。

お笑いの方は実際、友人の「めたりか」とか頑張ってくれている方がいて、大喜利とか大きなイベントも開かれるようになっているし。
アマチュアやプロ、事務所の垣根を越えて楽しめるっていうのは、彼らの大きな功績だと思っています。

僕は、音楽とお笑いを掛け合わせたイベントを開催したいなと。
学生もプロもアマも楽しめるっていう、ひがっすフェス、やりたいですね

ひがっすさんの今後の目標、夢は「ひがっすフェス」という、自身の名前を冠したフェスをやりたいとのことでした。

しかも、お笑いだけではなく、音楽と融合し、プロ・アマ、学生を問わずに楽しめるフェス。
場所と時間を決めて、サーキット形式で楽しめるイベントを開催したい。

夢を語る際の嬉しそうな顔が印象的です。

僕は、点と点をつないでいくのが役目だと思っていますから
県外のアーティストさんとか、自分がつながった人と、若いアーティストを一緒に組んでみたりとか。

テレビでも、そんな番組あるじゃないですか?
若いスポーツ選手を取り上げて、紹介していくような。

知り合いでも、色々とコラボして頑張っている人を知っていますので。
やりたいことがあるなら、やった方が良いですよって背中を押してあげるっていうのかな。
そんな風に、つないでいって、広げていってって。
そのつながりに、可能性を感じたいです。

それを次のステップにつなげても良いですし、居場所を作るのも良いですし。
結構いると思うんですよね。
そういう人を多ジャンルの方にも知っていただいて、つないでいけたらなと思っています。

今まで知らなかったっていう人に知っていただける、そうやって新しい景色が見えてくるんじゃないかなと思っています。
だから、僕はフェスをやって、多くの人と人をつないでいきたいかな

ひがっすさんは、人と人をつなぐことの大切さを語りながら、自身の夢について話してくれました。
誰かに誰かを知ってもらうことで、人をつなぎ、ビジネスも描いてつないでいく。
その広がりが、より多くの人と人をつなぐ大きな動きになり、多くの人の喜びや楽しみにつながる。

ひがっすさんの夢は、たくさんの人が笑顔になれる、そんなフェスという場所を作ることでした。

本業とアマチュア芸人、カホン奏者という複数の顔で沖縄を盛り上げる人

ひがっすさんは、仕事にいそしみつつ、アマチュア芸人やミュージシャンとしての活動をしています。
それは、苦労も多く、特に日程調整と集客面は考えなくてはいけない点だと語ってくれました。

そんな苦労があっても、ライブ活動を続けるのは、見てくれる誰かがいるから。
見てくれた誰かがいることで、新しいコンテンツが生まれることを知っているから。
その経験があるからこそ、ご自身も「人をつなぐ」ということに力を入れているそうです。

誰かと誰かをつなぐことで、新しい景色、新しいビジネスが生まれることもある。
だからこそ、そのような場を作りたいと考えている
とのことでした。

「ひがっすフェス」が開催されるとき、沖縄だけでなく、色々な場所から来た人が、新しいつながりを得て羽ばたく舞台が誕生するように感じられます。

本インタビューを通じて、ひがっすさんの活動からは、エンターテイメントを通じて人々の架け橋となり、沖縄と各地をつなげていく情熱が感じられました

ひがっすさんは、「人をつなぐ」という考えを信念に、本業と芸人の二刀流を貫いています。

彼の活動が、今後さらに多くの人々に笑顔と新たな出会いをもたらすと、筆者は確信しています。

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